無料簡単お見積り LINE@

求人応募問合せLINE LINE@

床の段差解消の最前線
ーロボットが走る時代の床づくり

株式会社フロアエージェント 
代表取締役 又吉 雄二

▲床面と一体に連続したフロアブリッジのジョイント上を、フォークリフトが低振動で走行する。段差のない床が、これからの倉庫・工場の自動化を足元から支える。

倉庫や工場の自動化が加速するなか、床の「わずかな段差」が生産性を左右する時代が訪れている。本稿では、ロボット走行を支える床の段差解消について、その必要性と解決策、そして今後の展望を、現場の視点から述べる。

1.はじめに ―なぜ床の段差解消が必要なのか

近年、倉庫や工場ではAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行ロボット)の導入が急速に進んでいる。深刻な人手不足を背景に、これらのロボットは人に代わって部品や荷物を運び、現場の生産性を支える存在となった。しかし、その走行性能は床面の状態に大きく左右される。AGV・AMRは床のわずかな段差や傾斜に弱く、目地部の数ミリの段差でも、車輪の脱線やスリップ、積荷の振動、位置決め精度の低下を招く(写真1)。一台が目地で停止すれば搬送ライン全体が滞り、自動化の効果は一気に失われる。実際、ロボット導入の現場では「通路をあらかじめ平滑に補修する」ことが前提条件となっている。

写真1 経年で段差・隙間が生じた既設の床目地。ロボット走行の支障となる。

すなわち床の段差解消は、ロボットを安定して走らせ、その投資効果を最大限に引き出すための、いわば“走行インフラ”の整備なのである。どれほど高性能なロボットを導入しても、足元の床が整っていなければ、本来の力は発揮されない。とりわけ24時間稼働の物流現場では、ロボットのわずかな停止が大きな機会損失につながり、床の信頼性がそのまま事業の信頼性に直結する。

2.段差をなくすフロアブリッジとは

 こうした課題に対し、当社が提案するのが、炭素複合材(カーボンコンポジット)製の床目地材「フロアブリッジ(FloorBridge®)」である。フロアブリッジは、床に生じる目地・段差を床面と一体のレベルで連続させる既製の部材で、世界各国で特許を取得している。最大の利点は、床面と同じ高さに納まり、段差のない平滑な走行面を実現できることにある。表面には波形(サインカーブ)の目地線が設けられ(写真2)、車輪が目地を斜めに横切ることで、通過時の衝撃と振動を分散・低減する。これにより、AGV・AMRはもちろん、フォークリフトや台車も低振動で走行でき、車両側の故障やメンテナンス費用を抑えられる。さらに、試験済みの防水接合により水
や塩分の浸入を防ぎ、コンクリートや鉄筋を劣化からる。金属を含まないため錆を生じず、衛生面の制約がある食品・医薬の現場にも適する。上から任意色のコーティングができ、意匠の自由度も高い。薄く設置高が低いため、新築のみならず既存床の改修にも無理なく適用できる(写真3)。

写真2 走行性を高める波形の目地線が設けられたフロアブリッジの表面
写真3 既存床にフロアブリッジを設置する様子

3.フロアブリッジの構成― なぜフラットで、高耐久なのか

フロアブリッジがフラットさと高い耐久性を両立できる理由は、その構成にある。母材である炭素複合材は、金属に匹敵する強度を持ちながら錆びず、薄い断面でも大きな荷重に耐える。圧縮強度は概ね60〜80N/㎟に達し、フォークリフトや車両の繰返し荷重にも耐える設計である。専用接着剤によって下地コンクリートと一体化(図1)し、床面と段差なく連続するため、走行時の衝撃が一点に集中せず、目地まわりの欠けや脱落が起こりにくい。加えて表面は施工後も複数回(最大約2㎜)研磨でき、床やコーティングの摩耗に合わせて再調整できる。 摩耗の目安を示す「削りインジケータ」も備え、メンテナンスの判断を容易にする。標準長は約1,200㎜の既製品であり、品質が安定し、施工も速い。つまり「貼って終わり」ではなく、床の経年変化に追従して平滑性を保ち続けられる。これらの特性が、ロボットが長期にわたり安定走行できる、フラットで壊れにくい床を生むのである。

図1 構造断面図:コンクリート・コーティングと一体化するフロアブリッジ(左:幅広用 WGX 20/50、右:標準用 ST 20/30)

4.今後の需要の見込み

床の段差解消の需要は、今後さらに拡大すると見込まれる。背景にあるのは、搬送ロボット市場の急成長である。AGV・AMRを含むモバイルロボットの世界市場は、2025年の約89億ドルから2030年には約300億ドルへと、年平均7.5%の高成長が予測されている(図2)。国内市場も、深刻な人手不足を背景に世界平均を上回る年率で伸びると見られ、ロボット導入はもはや「効率化の手段」から「事業継続の必須条件」へと変わりつつある。

図2 AGV・AMR を含むモバイルロボットの世界市場の5 年後の予想

一方、その受け皿となる施設は膨大である。国内の物流センターは約2.5万〜3万拠点、床面積は計約1.3億㎡に及び、製造事業所(工場)は全国に約17.7万事業所を数える(経済センサス等)。これらの多くは、ロボット走行を想定していない既存床であり、段差・目地という課題を抱えている。とりわけ、ロボット走行を前提としない既存ストックは改修によってしか対応できず、ここに大きな潜在需要が眠っている。新たに建てられる物流施設も年々大型化・自動化しており、床に求められる平滑性の水準は一段と高まっている。ロボット化が進むほど、その走行面を整える床の段差解消ニーズは、新築・改修の両面で確実に高まっていく。

5.今後のフロアエージェントの取り組み

 当社フロアエージェントは、床の精度を専門とする施工会社として、この最前線に立つ。長年培ってきた左官技術と床精度管理のノウハウに、フロアブリッジをはじめとする最新の材料・工法を組み合わせ、ロボットが安定して走れる床を、新築から改修まで一貫して提供していく(写真4)。床の段差解消は、単なる補修ではなく、倉庫・工場の自動化計画を足元から支える基盤づくりである(写真7)。設計者や物流事業者と早期から連携し、床という視点から自動化計画全体を最適化する提案にも力を注いでいく。私たちは、床という視点から倉庫のロボット計画を支えるリーディングカンパニーとして、これからの自動化社会に貢献すべく邁進していく所存である。床に課題を感じておられる方は、ぜひ計画の初期段階からご相談いただきたい。

[出典] モバイルロボット市場規模:Mordor Intelligence。物流センター拠点数・床面積及び製造事業所数:経済センサス等の公的統計に基づく推計・公表値。FloorBridge® は FloorBridge® International GmbH(オーストリア)の登録商標である。

写真4 段差解消は新築時の施工計画から、改修工事の部分的な補修まで対応可能
写真5 今後も倉庫・工場音自動化計画ための床づくりに注力していく