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施工レポート

左官仕上げを随所に取り入れたシンプルで居心地の良いレストラン

写真1 間接照明による落ち着いた雰囲気と極力無駄を省いたシンプルな内装が居心地の良い空間を創り出している

写真2 店内中心に構えるカウンターキッチンと、こだわりの石を埋め込んだ床は、どこか自然の温かみを感じさせる

 

はじめに

東京都中野区に新装オープンしたイタリアンレストラン(写真1・2)は、塗装や貼物をせず「左官材」と「木」と「照明」以外の無駄なものを省くことで、ファサードからイタリアのバルを思わせる(写真3)、雰囲気ある内装仕上げとした。カウンターおよび厨房の天板は濃灰×灰色調のダークな天板に(写真4)、黄色の照明が照らされることでビールストーンの温かみとジョリパッド壁のアイボリーが調和し、さらに床はモルタルストーンポリッシュを採用し、左官材の持つエイジング感がこの空間の雰囲気をより一層際立たせ、こなれ感を演出している。

さらに今回オーナー様のご希望としてお客様が調理場の風景や調理音など、食とライブを楽しめる設計としているため、店舗に入ると一人でも居心地がよく過ごせる空間になっている。

今回は弊社が施工した内装工事の中で、キッチンおよびカウンター天板ビールストーン施工、床のモルタルストーンポリッシュ施工を紹介する。

写真3 前面ガラス張りの外観は昼夜で異なる顔を見せる

写真4 ダークな色調のビールストーンを使用したカウンターキッチン

施工について

施工は店舗の顔となるカウンターおよびライブ感の演出されるキッチンの天板をビールストーン(写真5)で仕上げるため(写真6)、特に角や通りが狂いなく通っていなければならない。

ビールストーンの材料を流し込む木枠の精度、天板の削り込み精度がこの仕上げを決めると言っても過言ではない。材料の流し込みが細かな締固め作業が仕上がりを大きく左右する。

型枠を設置し、材料を流し込む前にもう一度水糸等で通りを狂いなく確認してから材料を充填していく。天板の平場はレーザーレベルで確認した後、定規摺りを行い平坦性を確保し、一定時間おいてからコテ押えで微細な不陸を取り除いて、乾燥収縮による微細な不陸やゆがみを取り除き、さらに平坦平滑に仕上げる。

塗付けの際に注力したことは、小口に塗り付けていった材料にジャンカや穴が出ると、通りが悪くなったり歪みが出たり、穴から亀裂に繋がり衛生面でも問題が発生するため、ハンドバイブレーターを用いて振動を起こし(写真7)材料を流動させることで隙間の発生を防いだ。

しっかりと乾燥期間をおいた後、ざらつきを無くし、光沢が出るまで番手を変えながら研磨作業を行った。通常の番手よりも細かいレジンパッドで、より滑らかになるまで磨き上げ、まるで一枚石のような継ぎ目のない表面に仕上げた(写真8)。

次に床については弊社のご提案によりモルタルに石を詰め研磨仕上げとするモルタルストーンポリッシュが採用された。石を提案する中で、埋める石のサイズや色にこだわり、より印象的な床にしたいとの要望から、100~150mm角の五郎太石を埋め、写真9の石目が大きくレトロな雰囲気に仕上がった。

石の数も、当初は1㎡に2つを予定していたが、仕上がりを考え1㎡あたり6つ程度に増やす要望から石の数は当初より増えた(写真10)。付き代が無い中、多くの石を埋め込み、モルタル打設を行うのは困難であったが、石を固定し埋め込むようにフロアレベルより3mm高くモルタルを打設を行った。表面は石の質感を最大限生かすため、低光沢で仕上げ、より自然な仕上がりを目指した。

写真5 カウンターをクリーンで無垢の石のように見せるビールストーン

写真6 角や通りが狂いなく通ったカウンター

写真7 ビールストーン塗付け

写真8 まるで一枚石のように仕上がったカウンター

写真9 石目が大きくレトロな雰囲気に仕上がった床

写真10 100150mm角の五郎太石を1㎡あたり6つ程度配置

まとめ

我々左官屋でも材料や工法は昔から多種多様に使用していて、あらゆる内装現場においてその技法やマテリアルを使いこなしてきた。そんな中左官仕上げの工夫で、例えば今回であればモルタルストーンポリッシュ床、ジョリパッド壁、ビールストーン天板とキッチンが、柔らかな空間を演出できたと言える。

これまでは設計のみが仕上げの提案に関わることがほとんどだったが、施主も近年施工者にアイディアを求めることも多く、実際に左官屋自体が自社にサンプル制作場やショールームを設ける会社が多くなってきていることも、施主が左官業者と直接情報を共有し円滑に現場を進めていることもこれまでにはなかった取り組みだ。それは近年SNS等で左官と施主が繋がり、アイディアを共有していることから、このような取り組みが生まれたと感じている。

実際に今年請け負っている案件のほとんどが提案型となっていることも、施主のニーズが合致していると言える。今後さらに我々左官業者の目利きや感性が問われる時代になってくると言っても過言ではない。