建築現場でコンクリートが必要となる場合、建物の寿命や床の品質を左右する重要な指標として「スランプ値」が関係していきます。

スランプ値とは、スランプ試験と呼ばれる実験で求められるフレッシュコンクリート(まだ固まっていない生コンクリート)の流動性を示す数値です。流動性が高いほど、スランプ値は高くなります。
特に、日々激しい車両移動や重量物の負荷がかかる物流倉庫、工場、商業施設などのコンクリート床においては、このスランプ値の選択が「施工後のひび割れや表面の摩耗(粉じんの発生)」を抑える最大の鍵となります。
コンクリートの専門施工会社であるフロアエージェントでは、施主様やゼネコンの現場担当者様が抱える「将来的なひび割れリスクを抑え、長期的に使える強固な床を作りたい」という課題に対し、事前の現地調査から最適なスランプ値のご提案、下地処理、そして最先端機械を用いた実際の打設・仕上げまでを一貫体制でサポートしています。

「現在の設計図書のスランプ値で本当に強度は足りるのか?」
「ひび割れリスクを最小限に抑えた床づくりの提案がほしい」
という方は、現在の設計図面や仕様書、現地の写真などを添えて、まずは一度お気軽にご相談ください。床の素地品質を見極める専門営業と技術者が内容を確認し、現場の使用目的に応じた最適な施工プランをご提案いたします。
コンクリートのスランプとは
コンクリートのスランプ値とは、コンクリートの流動性や柔らかさを示す指標であり、施工現場における品質管理の重要な要素です。
スランプ値は、フレッシュコンクリートの流動性を測定するための試験で得られる数値で、主に建設現場での打設作業のしやすさを左右します。
この値が高いほどコンクリートは流動性が高く、低いほど硬めで流動性が低いことを示します。
スランプ値の設定は、施工の目的や使用する場所によって異なり、コンクリートのスランプ値は施工性や品質に大きく関わってくるものです。
コンクリートのスランプが与える影響とは
コンクリートのスランプが与える影響は、高い時と低い時で異なります。生コンクリートに含まれる水分量の違いが、硬化後の床の耐久性を大きく左右するためです。
本項では、下記2つについて詳しく解説します。
- スランプの値が高い時
- スランプの値が低い時
スランプの値が高い時
コンクリートのスランプ値が高い場合、施工性が向上し、作業者にとって打設や仕上げ作業が容易になるというメリットが得られます。
特に狭い場所や複雑な型枠を使用する現場では、コンクリートがスムーズに流れ込むため、型枠内に均一に充填されやすくなり、施工効率が向上します。また、コンクリートの表面仕上げも比較的滑らかになりやすく、美観を求められる部分にも有効です。流動性が高いことで、振動締固め作業の負担が軽減されるでしょう。

高スランプのコンクリートは施工時の扱いやすさというメリットがある一方で、床として長期的に使用する場合には、ブリーディングや乾燥収縮、表面の脆弱化といった点に注意が必要です。特に、物流倉庫や工場のように車両走行や重量物の荷重がかかる床では、施工時の作業性だけでなく、硬化後の耐久性まで考慮してスランプ値を検討することが重要です。
スランプの値が低い時
コンクリートのスランプ値が低い場合、一般的に流動性が低く、コンクリートが固く感じられるため、打設や型枠への充填が難しくなるという特徴があります。

低いスランプ値のコンクリートは、施工時に人手による振動締固めが必要となり、特に狭い箇所や複雑な形状の型枠での施工には手間がかかるでしょう。材料がボソボソとしていて流動しないため、従来の土間職人による手作業の均しだけでは、均一な平坦性を出すことが非常に困難です。
しかし、スランプ値が低いコンクリートには、強度面での圧倒的なメリットがあります。流動性が低いことで、余分な水分量が少なく、コンクリートの密実性が極限まで高まるため、圧縮強度や耐久性が向上することが一般的です。
特に、大型トラックやフォークリフトが頻繁に行き交い、極めて高い耐荷重性能・耐摩耗性能が求められる物流倉庫や工場、データセンターの床コンクリート工事では、低いスランプ値のコンクリートを使用することが多く、完成後の収縮やクラックの発生リスクも大幅に抑えられることから、長期的な安定性が期待されます。
このような流動性の低いコンクリートを均一に施工し、床として必要な平坦性や密実性を確保するには、材料の状態を見極める職人の技能と、施工条件に応じた機械化施工が必要です。
フロアエージェントでは、低スランプコンクリートの施工において、均し作業だけでなく、締固めや仕上げまでを一体で管理しています。次の章では、コンクリート内部の空隙や水ミチを抑え、より密実な床づくりを目指す「再振動締固め」について解説します。
低スランプを極限まで緻密にする「再振動締固め」
低いスランプ値でのコンクリート床工事の品質をさらに確実なものにするため、私たちは「再振動締固め工法」をご提案しています。
これは、コンクリートを敷き均した後に再び特殊な機械を用いて微振動を与え、フレッシュコンクリートの内部に残ってしまった空隙や気泡、硬化後にクラックの原因となる「水ミチ」を押し潰して除去する工法です。これによって、引き渡し後のひび割れの発生頻度が減少する効果が実証されています。

作業を追加することになるため、初期費用とのバランスを考える必要はあります。しかし、目に見えるひび割れが発生すると、引き渡し後に補修費用がかかるだけでなく、工場や倉庫の稼働に影響する場合があります。
メンテナンス時に生産ラインを止めたり、フォークリフトの走行エリアを制限したりする必要が出れば、補修費以上の機会損失につながります。長期的に使用する床では、施工時に密実性を高めておくことが、将来的な修繕負担を抑える選択肢につながるのです。
ただし、コンクリート床のひび割れ対策や密実性の向上は、再振動締固めだけで決まるものではありません。現在では、施工機械や工法の改良も進み、かっぱぎ作業の機械化なども含めて、現場条件に応じた選定が重要になっています。
フロアエージェントでは、床の用途、荷重条件、仕上げの要求品質、施工面積、新築・改修の違いなどを確認したうえで、再振動締固めを含めた適切な施工方法を検討します。低スランプコンクリートの施工や、ひび割れリスクを抑えた床づくりをご検討の方は、図面や床の使用条件、現在の床写真などをお送りください。
なお、現在のフロアエージェントのコンクリート床施工では、再振動締固めに加え、かっぱぎ作業を支援する自社開発機「カッパー」も活用し、現場条件に合わせた施工体制を組んでいます。
フロアエージェントが行う床品質向上の取り組みや、土間作業の省力化・安定化を支える自社開発機については、下記ページもあわせてご確認ください。
高度経済成長期は高いスランプ値が当然だった
高度経済成長期は品質よりもスピードが求められたため、スランプ値18以上の水気が多いコンクリート工事で作業効率をあげざるを得ないという背景がありました。
高いスランプ値のコンクリートは圧倒的に均しやすいのが特徴です。職人にかかる負担が少なくなりますので投入する人員数を削減することができます。少ない人数で数多くの工事をまわすことができるため、高いスランプ値のコンクリート工事は業者にとって利益率の良いものになるわけです。しかし、スランプ値を高くすることでお客様にとって良いことはひとつもありません。

水気が多いコンクリートでは、均し後にブリーディングが発生しやすくなります。図解のように、上昇した水の通り道は水ミチや空隙として硬化後にも残る場合があり、コンクリート内部の密実性に影響します。
この水ミチから侵入した空気が鉄筋に触れると、鉄筋が酸化して錆びる原因となります。そのまま放置している建物の躯体がボロボロになってしまうのです。
また、表面の組織が弱くなった床は、完成直後には大きな不具合が見えにくい場合でも、運用開始後に問題が表面化することがあります。特にフォークリフトや台車が走行する倉庫・工場では、床表面が削れやすくなり、摩耗や粉じんの発生につながるため注意が必要です。
スランプ値18以上のコンクリートは今でこそJIS規格等の整備により適切な管理が行われるようになりましたが、現在でも「施工のしやすさ」を優先して、できるだけ高いスランプ値での施工を希望する業者が少なくないのが建設業界の現状です。
スランプ値15以下を提案しています
フロアエージェントでは、物流倉庫・工場・商業施設など、長期的な耐久性や平坦性が求められるコンクリート床に対して、原則としてスランプ値15以下での施工をご提案しています。
スランプ値を抑えたコンクリートは流動性が低いため、打設や均しの難易度が高くなります。そのため、施工する側には、コンクリートの状態を見極めながら、均し、締固め、仕上げのタイミングを適切に判断する力が必要です。

特に、フォークリフトや台車の走行、重量物の荷重が想定される倉庫・工場床では、施工時の作業性だけでなく、完成後の使われ方まで考慮した施工計画が重要です。スランプ値の設定、打設方法、仕上げ方法を一体で検討することで、ひび割れや表面劣化のリスクを抑えた床づくりにつながります。
低スランプコンクリートの強みを活かした床施工技術については、下記のページでも詳しくご紹介しています。
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コンクリート床のひび割れ・耐久性対策はフロアエージェントへ

本記事で解説した通り、コンクリートのスランプ値は、建物の寿命や床の耐久性を決める極めて重要な指標です。施工性を優先した高スランプのコンクリート打設は、引き渡し後の大規模なクラックや表面摩耗による粉塵を引き起こし、工場や倉庫の資産価値を大きく低下させる要因になります。
過酷な車両移動や重量物の積載に耐える強いコンクリート床を作るためには、あえて施工難度の高い「低スランプ(スランプ値15以下)」を選択し、機械化施工によって緻密に仕上げることが必要不可欠です。これら硬い生コンクリートの打設は非常に難易度が高く、現場の状況に応じた正確な施工判断と、専用の資機材が求められます。
新築・改修を問わず、工場や物流倉庫の床づくりでお困りの方は、ぜひフロアエージェントへご相談ください。現在の仕様書や設計図面、現地の写真などをお送りいただければ、最適な仕様選定と御見積をご提案いたします。




