工場の床は熱や油にさらされ傷みやすく、日々衝撃や摩耗の激しい環境におかれながら、メンテナンスを行うにも営業を止めることができないため、そのままになっているという工場が多いのが現実です。
工場の床を長期休暇の前に、自社の社員でホームセンター等で塗料を購入し、塗装を行っているという会社様も多いですが、工場床はその用途にあった塗料を正しく塗らないと、短期間で塗膜が剥がれたり、ボロボロになってしまったりする恐れがあります。
今回は、工場床の塗装における塗料選びと正しく塗装することの重要性についてお伝えします。
工場床を塗装してもすぐ剥がれる理由
工場床に塗膜を覆ってもすぐ剥がれてしまう理由は、下地処理が不十分なことが挙げられます。下地処理をせずに塗装面を塗り直しても塗膜がしっかり接着しないため、すぐに剥がれたり汚れたりします。
先日、年に1回社員で塗装を行っているものの、「すぐ剥がれる。汚くなる。」というご相談を受けました。費用を抑えるために自分たちで塗装を行っているようでしたが、すぐに塗装が剥がれ毎年塗装しているとのことで、結果的に時間とコストがかかっているとお話しされていました。
工場の塗り床や塗装が剥がれていると不衛生な印象なうえ、生産性の低下や、働く意欲の低下もあげられており、それ以上に、コンクリートが腐食や劣化を早めてしまい不動産価値にも影響を及ぼす恐れがあると言っても過言ではありません。それだけ工場の塗装床を綺麗に保つことは重要なことなのです。
工場床の塗装に使う塗料は用途によって変わる
工場とひとえにいっても砂糖や水を取り扱う、油を使う、火花が飛ぶなど床を劣化させる要因は異なります。フォークリフトや車両が往来するなど、床にかかる負荷も工場によって違うため、使用用途によって塗るべき材料が変わってきます。
工場床を塗装する塗料は実にさまざまな種類があり、機能も異なります。
また、塗膜をどれくらいの厚みにするのかも重要です。例えば、とある車の整備工場では塗膜が薄く、スパナを落としただけで穴が開いてしまう状況でした。表面に空いた穴から空気が入り込むとコンクリートの腐食が進んでしまい、補修工事が必要になる場合もあります。
工場の床を塗装する塗料の選択肢
一般的な塗料は「厚膜型エポキシ樹脂」と呼ばれるものですが、種類によって機能はさまざまです。
今回はABC商会様の材料でご説明致します。
厚膜型エポキシ樹脂の機能の一例
「ケミクリート」の特徴は下記になります。
- 防滑性
- 耐薬品性
- 抗菌性
- 耐電性
- 重量物走行耐性
- 耐熱水衝撃性
上記の機能の中から、工場の用途によって最適な塗装材を提案します。
ご提案の一例
- 食品工場:耐熱水衝撃性、抗菌性が高い塗料
- 薬品工場:耐薬品性、高抗菌性が高い塗料
- 車の工場:重量物走行耐性が高い塗料
水性硬質ウレタン系塗り床材
「タフクリート」
さらに耐久性を追求したタフクリートという塗料もあります。点の衝撃にも強く、摩耗にも強いタイプです。さらに耐熱性能もあり、砂糖・水などの腐食にも強い塗料です。
主に、下記の場所で適用が可能です。
- 厨房
- 食品工場
- 冷凍(下限-30℃)・冷蔵庫
- 熱水洗浄・蒸気洗浄を行う床など
「タフクリートMH」は、有機溶剤を使わない水性材料のため、鼻を突くような臭いも発生しません。施工時間が短く、稼働を止めにくい食品工場や厨房で、改修にも適した床材と言えます。
床にかなりの負荷がかかることが想定される場合は、費用は高くなりますがタフクリートがオススメです。タフクリートの利点としては1度施工するとはつり取るまで使える驚異の耐久性です。塗り重ねる必要がなく、メンテナンスは洗浄だけで済みます。
デメリットは強靭すぎるため撤去するのが大変な点です。厨房など用途が変わりづらい場所にはオススメですが、今後工場の用途が変わる可能性がある場合は撤去費用が掛かるため検討が必要になります。このように、お客様の現在の工場の用途だけでなく今後についても伺った上で、塗料の提案をさせていただきます。
正しい塗装を長持ちさせる秘訣
最適な塗料を選んでも、塗装方法が正しく行われなければ耐久性を下げてしまいます。
例えば、工場の場合は油汚れなどがこびりついているため、その上から塗っても塗膜は定着しません。
塗膜を剥がしてコンクリートの脆弱な部分を剥がし、接着剤をつけた上で塗装を行っていきます。「いかに不純物をなくして塗り直すことができるか」が重要です。
研磨機による下地処理の様子
不陸の著しい箇所にはあらかじめ凹み補修を行ってからパテ補修を行う
工場床塗装の課題「営業を止められない」
工場床の塗装で課題になるのが「営業を止めずに塗り直せるか」という点です。受注の関係から生産を止めることができないという工場がほとんどです。
フロアエージェントでは、営業を止めずに塗装を行うために段階的に分けるプランをご提案しています。
例えば、工場全体をブロックに分け、日を分けて順番に少しずつ塗装を行っていくなどです。とあるお菓子工場では、窯下のコンクリートがボロボロになっているのが気になっており、原因は砂糖でした。砂糖は腐食を早めます。
ただ、1年中工場は止められないのでその工場では最初二の足を踏んでいましたが、数年かけて少しずつ補修・塗装を行うことにしました。1回の塗装は10平米ほどで、営業に支障がないように塗装を完了させることができました。
もちろん、工場の休みがある程度まとまっている取れる期間に集中的に行うことも可能です。
工場の床塗装の単価
工場における床塗装の単価についてもお話しておきます。
3000円~6000円/平米(目安です)
100 ㎡以下、300 ㎡以上、500㎡以上、1000㎡未満、2000㎡以上、3000㎡以上、5000㎡以上、10000㎡以上など平米数によって単価は異なります。
工場床の汚れ、劣化のお悩みはフロアエージェントまで
お客様に満足いただける工場床を仕上げるには、職人の腕だけではなく、十分なコミュニケーションと汲み取る力が不可欠です。
弊社ではオーナー様や工務店、設計士との打ち合わせを入念に行います。どのような床をお望みなのか、共通認識を持って作業を進めていくことをモットーとしております。
また、その意匠性の高さから左官仕上げは店舗、戸建とさまざまな建物に取り入れられています。意匠性と同じぐらい大事なことは耐久性です。弊社では、ヒビが入りづらい床を長年追求してまいりました。
塗料はもちろん、施工方法によって耐久性は大きく左右されます。ヒビが入りづらい工場床をお求めの方は是非ご相談ください。